慢性中耳炎の症状や治療
さまざまな中耳炎の症状はスコープをのぞいた時にどう見えるの?診断時の症状とその経過がよくわかる事例を
ご紹介致します。いろいろな疾患をのぞいてみよう!
慢性中耳炎の症状とその経過画像
原因と症状
中耳(鼓膜の奥)に起こった炎症が慢性化してしまい、中耳の粘膜がひどくダメージを受ける病気です。
症状としては鼓膜に穴があき、耳だれが継続して出てしまい、難聴になる場合もあります。
痛みに関しては、感じないか、あってもそれほど強くありませんが、急性化膿すると痛みが強くなります。
急性中耳炎の治療を不完全のままで放置した結果起こる場合が多く、真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん:耳の奥に真珠のような白の塊ができ、耳の骨を破壊しながら増殖していく困った中耳炎)などに発展した場合は手術が必要になります。
慢性中耳炎の方は、基本的に鼓膜に継続的に穴が開いており、
耳だれが出やすい状態になっています。
まずは中を清潔に保つための治療を行い、耳だれを止めていくことが第一の治療になります。
次に、耳だれが止まってきた場合、その先の治療に進むかどうか、決定して頂くことになります。
慢性化膿性中耳炎の画像
慢性化膿性中耳炎の画像です。慢性的に鼓膜に穴の開いた状態で耳だれが見られることも多々あります。
慢性中耳炎の治療法
慢性化膿性中耳炎の方は、基本的に鼓膜に継続的に穴が開いており、耳だれが出やすい状態になっています。
治療法としては以下のようになります。
まずパッチを行います。(※パッチとは紙テープなどの特定の材料を用いて、穴を閉じる治療を言います。)
パッチにより、聴力が改善されるとすれば、鼓膜形成手術により、聴力が改善されるという期待が出来ます。
小さい穴であれば、パッチを行うことがきっかけとなり、穴がふさがっていくこともあります。
しかし、基本的にはパッチはあくまでも一時的なものであり、鼓膜が塞がる材料にはなり得ません。ですので、
本当に穴をふさぐには鼓膜形成と言われる手術が必要になります。
その鼓膜形成と呼ばれる手術には、代表的なものとして耳の後ろにある筋肉を覆っている膜を移植する術式があります。
慢性中耳炎に対する高槻やまもとクリニックの取り組み
2015年現在、当院では慢性化膿性中耳炎の患者さまに対して、いわゆる「鼓膜形成術」の治療は行っておりません。(鼓膜形成術をご希望される患者様には該当する施設をご紹介しております。)
しかし長年に渡って、鼓膜の穿孔(あな)が開いたままになってしまっている方に対して、通院していただいた上での「穿孔閉鎖」の治療を行い効果をあげております。
但し、この治療はどなたにでも向いている治療と言うわけではないので、本治療が向いている方を年齢に分けてご紹介いたします。
70代の方
- 子供の時(あるいは比較的若い時期)に、鼓膜に穴があいてしまい長年放置していた方
- 命に関わる病気でないのなら、今さら手術はご希望されない方
- 他の症状(鼻水や痰など)があり、少なくとも週に一度程度の通院は出来る方
20代~60代の方
- 以前受けた鼓膜形成術の後に再び鼓膜に穴が開いてしまい、もう再手術は希望しないが、聞こえが悪く困っている方
- 以前に耳掃除の際に耳を傷つけてしまったが、出血もすぐに止まったので放置していた。たまたま別の症状で耳鼻科にかかった際「鼓膜に穴が開いている」と言われたけれども、手術は希望しない方
以上まとめると「手術は希望しない」が「通院は出来る」方が対象となります。
一方で手術を行っている施設での治療をお勧めする方は以下のようになります。
- 鼓膜に穴が開いており聞こえが悪くて困っているが、お仕事などで忙しく頻回の通院は難しい方
- 治療のためにまとまった時間を取っても良いと思っているが、短期間で確実な効果を希望している方
また、遠方にお住いの方で通院による治療を希望される場合は、距離的な制限がある訳ではありませんが、効果が出るまでの期間は人によって違うため、気長に根気よく通院出来る方でないとお勧めできません。
以下が当院での治療をされた患者様の鼓膜の状況を示す写真となります。
治療の実例
-
比較的大きな鼓膜穿孔を持つ60代女性の治療前後の写真です。治るまで数カ月を要しましたが、穿孔はほとんど閉じました。
-
60代男性の治療前後の写真です。穿孔の閉鎖により、聞こえもかなり改善しました。
-
比較的小さな鼓膜穿孔の方の写真です。この方の場合は2週間程度の治療でここまで閉塞しました。