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[chapter.4-2]滲出性中耳炎の症状や治療滲出性中耳炎の症状や治療

さまざまな中耳炎の症状はスコープをのぞいた時にどう見えるの?診断時の症状とその経過がよくわかる事例を
ご紹介致します。いろいろな疾患をのぞいてみよう!

滲出性中耳炎の症状とその経過画像滲出性中耳炎症状とその経過画像

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滲出性中耳炎の原因滲出性中耳炎の原因

最も多いパターンは急性中耳炎が十分に完治しないままにに、鼓膜の内側に溜まっていたウミが滲出液となって残ってしまうケースです。通常、中耳炎のウミは中耳と鼻をつなぐ耳管を通り、のどのほうに排出されます。
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの鼻の病気やアデノイドが大きい場合などでは、耳管の働きが悪くなり、滲出性中耳炎になりやすくなります。

滲出性中耳炎の症状

中耳(鼓膜の奥)に液がたまり、音が聞こえにくくなります。症状としては、主に難聴・耳のつまり感・耳鳴りです。 子供特有の症状では、返事が遅い・耳をやたらと触る・集中力の低下などが挙げられます。また、痛みが無いために、子供の場合では、
気づかないうちに滲出性中耳炎になっているケースがあります。
放置するとたとえ中耳炎が治っても、難聴が残ってしまうこともあります。

ぞうたろう

滲出性中耳炎の画像滲出性中耳炎の画像

滲出性中耳炎の画像です。鼓膜の陥凹(凹み)、液の溜まりなどが見られます。

  • 滲出性中耳炎の症例
    滲出性中耳炎の一例です。中耳内に貯留液が見られます。
  • 滲出性中耳炎の症例
    こちらも滲出液の貯留が見られます。
  • 滲出性中耳炎の症例
    貯留液が見られます。貯留液の中に気泡が見られます。
  • 滲出性中耳炎の症例
    陥凹のひどい滲出性中耳炎の例です。貯留液に加え、弛緩部(鼓膜の上部)にまで陥凹が見られます。
  • 滲出性中耳炎の症例
    貯留液が通常よりも粘調な滲出性中耳炎の例です。通常よりも難治性であることが多いです。

滲出性中耳炎の経過滲出性中耳炎の経過

滲出性中耳炎の経過です。診断がついた後(図1)、貯留液が多くなったので(図2)、切開を行いました。
(図3)徐々に穴がふさがり、かさぶたがつきながら(図4~5)、改善に至りました。(図6)

  • 滲出性中耳炎の経過
  • 滲出性中耳炎の経過
  • 滲出性中耳炎の経過
  • 滲出性中耳炎の経過
  • 滲出性中耳炎の経過
  • 滲出性中耳炎の経過

滲出性中耳炎の治療法滲出性中耳炎の治療法

当院での滲出性中耳炎の診断・治療法以下の通り行います。

  • 診断
    まずは鼓膜を診察し、鼓膜の奥に滲出液が溜まっているのかを確認します。状況によって鼓膜の状態をみるティンパノメトリーという検査や聴こえの検査を行います。
  • STEP.01
    お薬の服用や吸入(ネブライザー)による鼻とのどの治療を行います。
    アレルギーを抑える薬に加え、必要に応じて通常量の1/2~1/3の量のマクロライド系と呼ばれる
    抗生物質を長期間飲んでいただくこともあります。
    また、通気療法といって耳と鼻を結ぶ管(耳管)に鼻から空気を送ることにより、
    たまった滲出液の排泄を促します。
  • STEP.02
    (STEP1をしばらくおこなっても改善がみられない場合)
    鼓膜切開を行います。鼓膜に小さな穴をあけ、中耳にたまった液を排出します。鼓膜は再生力が強く、自然に穴は塞がります。
    そのまま行うと痛いため、鼓膜に麻酔液をつけてから行います。
  • STEP.03
    (鼓膜切開を数回行っても再発を繰り返すような難治性の場合)
    鼓膜にチューブを挿入します。鼓膜切開を繰り返し行っても治りが悪いときには、切開を行った後に小さなチューブを挿入します。
    これにより、常に液を排出できるようにするとともに中耳の換気を促します。
    大人や比較的大きなお子様の場合では当院にてチューブの挿入手術を行いますが、小さなお子様で局所麻酔による治療が難しい場合は、入院施設のある病院を紹介致します。

滲出性中耳炎に対する高槻やまもとクリニックの取り組み滲出性中耳炎に対する高槻やまもとクリニックの取り組み

メスによる切開
メスによる切開
オトラム(OtoLAM)による鼓膜切開
オトラム(OtoLAM)による鼓膜切開

当院ではレーザー鼓膜切開装置であるオトラム(OtoLAM)を用いて、鼓膜切開を行っています。レーザーにより出血が少なく、きれいな円形の穴を瞬間的に鼓膜に開ける事が出来ます。
 
メスで切開した傷より、ゆっくりと時間をかけて治す事が出来るのも特徴のひとつです。「穴が閉じるのが遅い」と言うと心配される方もいるのですが、切開した穴がゆっくり閉じる事により、長期間にわたる中耳の換気を行う事ができ、膿汁の再貯留を防ぐ効果があります。
また思い通りのサイズの穴を鼓膜にあける事ができるため、数回の鼓膜切開を行っても治癒に至らない患者さまに対しチュービング(鼓膜に膿みを出したり換気を行うためのチューブを挿入する治療)を行う事も比較的容易になりました。
 
そのため、滲出性中耳炎に対して、より効果の高い治療を行う事が出来ると言えます。