滲出性中耳炎の症状や治療
さまざまな中耳炎の症状はスコープをのぞいた時にどう見えるの?診断時の症状とその経過がよくわかる事例を
ご紹介致します。いろいろな疾患をのぞいてみよう!
滲出性中耳炎の症状とその経過画像
滲出性中耳炎の原因
最も多いパターンは急性中耳炎が十分に完治しないままにに、鼓膜の内側に溜まっていたウミが滲出液となって残ってしまうケースです。通常、中耳炎のウミは中耳と鼻をつなぐ耳管を通り、のどのほうに排出されます。
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの鼻の病気やアデノイドが大きい場合などでは、耳管の働きが悪くなり、滲出性中耳炎になりやすくなります。
中耳(鼓膜の奥)に液がたまり、音が聞こえにくくなります。症状としては、主に難聴・耳のつまり感・耳鳴りです。 子供特有の症状では、返事が遅い・耳をやたらと触る・集中力の低下などが挙げられます。また、痛みが無いために、子供の場合では、
気づかないうちに滲出性中耳炎になっているケースがあります。
放置するとたとえ中耳炎が治っても、難聴が残ってしまうこともあります。
滲出性中耳炎の画像
滲出性中耳炎の画像です。鼓膜の陥凹(凹み)、液の溜まりなどが見られます。
滲出性中耳炎の経過
滲出性中耳炎の経過です。診断がついた後(図1)、貯留液が多くなったので(図2)、切開を行いました。
(図3)徐々に穴がふさがり、かさぶたがつきながら(図4~5)、改善に至りました。(図6)
滲出性中耳炎の治療法
当院での滲出性中耳炎の診断・治療法以下の通り行います。
- まずは鼓膜を診察し、鼓膜の奥に滲出液が溜まっているのかを確認します。状況によって鼓膜の状態をみるティンパノメトリーという検査や聴こえの検査を行います。
- お薬の服用や吸入(ネブライザー)による鼻とのどの治療を行います。
アレルギーを抑える薬に加え、必要に応じて通常量の1/2~1/3の量のマクロライド系と呼ばれる
抗生物質を長期間飲んでいただくこともあります。
また、通気療法といって耳と鼻を結ぶ管(耳管)に鼻から空気を送ることにより、
たまった滲出液の排泄を促します。
- お薬の服用や吸入(ネブライザー)による鼻とのどの治療を行います。
- (STEP1をしばらくおこなっても改善がみられない場合)
鼓膜切開を行います。鼓膜に小さな穴をあけ、中耳にたまった液を排出します。鼓膜は再生力が強く、自然に穴は塞がります。
そのまま行うと痛いため、鼓膜に麻酔液をつけてから行います。
- (STEP1をしばらくおこなっても改善がみられない場合)
- (鼓膜切開を数回行っても再発を繰り返すような難治性の場合)
鼓膜にチューブを挿入します。鼓膜切開を繰り返し行っても治りが悪いときには、切開を行った後に小さなチューブを挿入します。
これにより、常に液を排出できるようにするとともに中耳の換気を促します。
大人や比較的大きなお子様の場合では当院にてチューブの挿入手術を行いますが、小さなお子様で局所麻酔による治療が難しい場合は、入院施設のある病院を紹介致します。
- (鼓膜切開を数回行っても再発を繰り返すような難治性の場合)
滲出性中耳炎に対する高槻やまもとクリニックの取り組み
当院ではレーザー鼓膜切開装置であるオトラム(OtoLAM)を用いて、鼓膜切開を行っています。レーザーにより出血が少なく、きれいな円形の穴を瞬間的に鼓膜に開ける事が出来ます。
メスで切開した傷より、ゆっくりと時間をかけて治す事が出来るのも特徴のひとつです。「穴が閉じるのが遅い」と言うと心配される方もいるのですが、切開した穴がゆっくり閉じる事により、長期間にわたる中耳の換気を行う事ができ、膿汁の再貯留を防ぐ効果があります。
また思い通りのサイズの穴を鼓膜にあける事ができるため、数回の鼓膜切開を行っても治癒に至らない患者さまに対しチュービング(鼓膜に膿みを出したり換気を行うためのチューブを挿入する治療)を行う事も比較的容易になりました。
そのため、滲出性中耳炎に対して、より効果の高い治療を行う事が出来ると言えます。