百聞は一見に如かず~医療IQの向上~(中耳炎編)
見える医療で、理解を深める。医療IQの向上で情報共有
中耳炎の治療においては、内視鏡を用いることによって
使用する前には見えていなかった世界が見えるようになりました。
その結果、より正確な治療過程と現状の把握が可能となりました。
また、「なかなか鼓膜の状態が改善しない」という現実が発生した場合でも、
保護者の方にもはっきりと見ていただくことが可能となりました。
今まで一般的な耳鼻咽喉科では、ドクターから耳や鼻の状態を説明され、
患者さんはそのドクターの表現力を頼りに自分の病状を想像するにとどまっていました。
「鼓膜が赤いですね」
そう言われた事のある方は多いと思います。
しかし、その「赤い鼓膜」を見たことのある方は、一体どれくらいいるのでしょう?
「赤い鼓膜」を見たことはありますか? 「ペコンと倒れた鼓膜」を見たことはありますか? 「お汁の溜まった耳」を見たことはありますか?
医師に「良くなったね」と言われたから良くなった、「悪くなったね」と言われたから悪くなった、
そんな風に思うのではなくご自身やお子様の耳の状態をしっかり把握していただき、
本当に必要な治療について理解し一緒に考えていくことができる。
当院では以下のようなやり取りが患者様との間で行われています。
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ケース.01 「急性中耳炎」のZくんの場合
Zくんママ「あ、腫れてたのが取れてますね」
ドクター「前回から比べると随分腫れがひいてますね。この調子でお薬を
もう少し続けて頂いて、完全に治してゆきましょう。」Zくんママ「写真で見えると状態がすぐにわかっていいですね。
子供にちゃんとお薬を飲ませようという気持ちが強くなります。」 -
ケース.02 「滲出性中耳炎」のEちゃんの場合
Eちゃんママ「うわ…、またお汁が増えてますね…」
ドクター「滲出性中耳炎は良くなったり悪くなったりをこの時期は繰り返しますからね。滲出液をこまめに空気を通して抜くようにして、治癒につながるように協力して取り組んでいきましょう」
Eちゃんママ「本当ですね。これだと聞こえにくいやろうなあ。またしばらくは、こまめに通うようにしますね。」
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ケース.03 「急性中耳炎」が繰り返し起こるRくんの場合
Rくんママ「先生、先月『治った』って言われたのに、
ゆうべまた熱が39度も出たんですよ」ドクター「それは高いですね。それでは見てみましょうか。」
Rくんママ「あー!また腫れてるー!」
ドクター「そうですね。Rくんはまだ1歳ですし、まだまだ熱が出る
たびに耳の方にも影響が出やすい年齢なんですよね。」Rくんママ「わかりました…。もう少し大きくなるまでの辛抱と思って、
またしばらく来ます。」 -
ケース4.「滲出性中耳炎」が遷延して(長引いて)いるAちゃんの場合
Aちゃんママ「相変わらずこの子の耳はお汁が溜まって黄色くなってますよね。
それにまだペチャンってヘコんでいる感じがする…。
どうしたら良いでしょうか?」ドクター「そうですね…。この状況でしたら鼓膜切開を考えた方が
良いかなと思います。」Aちゃんママ「あまり切りたくないんですけど、切らないと治らないんですか?
もっと通わないといけないんでしたら通いますが…」ドクター「切らなくても治る可能性はあるんですが、そうすると鼓膜が
ペラペラに薄くなったり向こう側の骨にくっついちゃうリスクも
あるんですよ。今ここで決めなくても結構ですので、
ご一考いただけませんか。」Aちゃんママ「そうですね。一度帰って相談してみます。」
ドクター「よろしくお願いします。切るにしても切らないにしても、
ご希望に添うよう治療しますので。」
このようにお子さんの「耳」の状態をはっきりと確認することができることで、
親御さん自身がお子様の身体に対して理解を深めていただいた上で、納得して治療をすすめることができます。
また、お子様の身体に対する理解以外に治療方針に関しても理解を深めることができます。
こうした医療IQの向上を親御さんへ啓蒙することで、「納得」して「安心」して「満足」して頂ける体制を整えていくことで、
結果として患者さんの健康に役立てることが、我々にとっても大きなモチベーションになります。