中耳炎の基礎知識
まずは中耳炎の予防
中耳炎を未然に防ぐ
中耳炎はこれまでの説明にもあったように、
風邪に伴って耳管の働きが悪くなっておこることが多いです。
風邪の予防をして頂くことが、中耳炎の予防にもつながっていきます。
その他で具体的に保護者の方がしてあげられることは
鼻すすりをしない、させない
そのために・・・
鼻かみについては上手に鼻をかむ指導を親がしてあげる
昨今、接種が解禁された肺炎球菌ワクチンについて、中耳炎に対しても一定の効果があるとする説が有力になっています。
本来は脳症を防ぐためのワクチンではありますが、中耳炎にも効果があれば一石二鳥で打たない手はない、と思われるかもしれません。
ただし予防接種というものはその接種そのものに副作用などのリスクがあることと接種をしても必ずしも防げる、
といった類のものでない事はご理解頂きたいと思います。
ワクチンを受けたからといってお子さんが中耳炎になっても治療を怠ることなく、しっかりと完治させてあげて頂きたいと思います。
中耳炎と登園・登校
登校・登園の目安
よほど痛みが強い場合あるいは高熱の場合をのぞいて、通学して頂いて結構です。
ただし、体育やスイミングはお休みして頂く場合がありますので、ご相談下さい。
中耳炎自体は感染しやすい病気ではないのですが、基礎疾患としてカゼをひいていると、
人にうつしてしまったり、あるいは中耳炎にかかりやすいお子さんがカゼが流行って
いる時に登校・登園することにより、中耳炎が再発する場合もあります。
そのような場合は十分ご注意頂いて、人にうつしたり、もらったりしないように
気をつける必要があります。
基本的に保育園では、風邪のうつしあいになることが多く、中耳炎になりやすいあるいは
かかってしまった場合長引きやすいということがいえます。
また、乳児期や1歳くらいで耳だれが続くようなお子さんの場合、
症状が長引いたり、繰り返したりしやすいということが多いです。
小さいお子さんの耳だれが続く場合は、ご心配になると思います。
保育園に行かずに済むのであれば、そのようにして頂ければいいのですが、実際にはそうはいかないご事情もあるかと思います。
ですので、そうした場合は必要以上に悲観的にならず、耳を清潔に保つため、治療にかかって頂ければと思います。
0歳~1歳のときにはずっと続いていたような耳だれも3~4歳くらいになると回数は減っていくのが普通です。
ただし、耳だれが繰り返すことにより鼓膜の穴が残ってしまうと慢性の中耳炎に移行する場合があるので、
耳だれが出てきた場合にはその都度治療に通院して頂くことが大切です。
よくあるご質問
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熱が出ていないのに中耳炎になることはありますか?
はい、あります。
中耳炎になったからといって必ずしも発熱するわけではありません。 -
耳掃除で中耳炎になることはありますか?あるいは耳掃除をしなかったら中耳炎になる場合もありますか?
耳垢は外耳にたまります。耳掃除をやりすぎることによって外耳道炎になることはあります。
ただし、耳を触り過ぎたり、逆に全く耳掃除をしなかったからといって
「中耳炎」になることは一般的にはありません。 -
中耳炎になったらプールに入ってはいけませんか?
急性期はプールは控えるようにして頂いてます。
滲出性中耳炎の場合は決して手放しでおすすめする訳ではありませんが、
当院では入って頂くことは可能だと考えています。
ある程度治癒が見えてくるようであれば適切な治療を受けながら、
プールに通って頂くことをおすすめしています。 -
中耳炎の際のお風呂はどうでしょうか?
入浴に関しても急性期を除いてはOKです。
洗髪についてもよく聞かれますが、入浴ができるようであれば洗髪も可能です。
ただし、鼓膜に穴が開いている場合はその穴を通じて感染を起こす場合があるので、その際は注意が必要です。 -
子どもの慢性中耳炎は治るのですか?
穴がそれほど大きくないものであれば自然に閉じることもあります。
しかし、大きな穴がある程度の期間あいていると閉じなくなってしまいます。
その場合は年齢がある程度大きくなった段階で鼓膜の穴を閉じる手術を行います。 -
子どもが急性中耳炎を繰り返しているのですが、個人差はありますか?
あります。
耳管の働きや鼻が悪いお子さん、あるいは保育園などでどうしてもカゼをもらいやすいお子さんなどでは
中耳炎を繰り返しやすい傾向があります。 -
チューブ留置術についてもう少し詳しく教えてください。
繰り返す中耳炎の場合、鼓膜切開をおこなってもすぐに滲出液が
たまってしまう場合があります。このような場合、鼓膜内にチューブを
留置して中耳を正常化するようにおこなうことがあります。
チューブを留置する目的は排膿、つまりウミを出すことではなく、
中耳の圧力の正常化にあります。例えば、急須のふたに穴があいていないと
お茶は出ませんが、急須のふたに穴があいているとお茶はそそぐことができます。
この場合、チューブは急須のふたの穴の役目を果たします。
通常チューブの留置期間は半年から数年にわたることがあります。 -
毎日耳鼻咽喉科に通院した方が良いのでしょうか?
そうですね・・・。
実際のところ、毎日という訳にもいかないでしょうし、当院では週に2回程度の通院をおすすめしています。
ある程度落ち着いてきた場合は、週1回程度の診察になる場合も多いのですが、患者さんの症状に応じて
ケースバイケースである部分もありますので、その都度ご相談させて頂きながらの治療になります。 -
滲出性中耳炎は治らない場合もありますか?
非常に鼓膜の陥凹が強い場合、鼓膜が中耳の骨と癒着してしまうような場合があります。
このような場合が手術が必要となりますが、手術をしても聴力が改善しにくい場合もあり、
そうなる前にしっかり治療していくことが必要です。
また、滲出性中耳炎が真珠腫性中耳炎の原因になるとも言われています。